悪がはびこるところ、正義と爆炎の味方が駆けつける。 君は対テロ組織Broforceの一員となって、人々に迷惑かけるテロリスト達や地形とかモロモロをぶっ潰していくのだ!
ドット絵で横スクロールアクションの『Broforce』は2014年にリリースされたゲーム。
懐かしい見かけながら、プレイしてみるとド派手な攻撃と演出、画面上にあるものはなんでも破壊できるハチャメチャさで、きっちりイマドキのゲームに仕上がっている。 いちいち演出がアメリカンで、懐かしさが月までぶっ飛ぶ爽快感だ。
■可愛らしいドット絵ながら、どのキャラも凄まじい火力を備えた強者ばかり。それぞれの特性を使い分けるところがナムコの『アウトフォクシーズ』っぽい……と言っても伝わりにくいかも
Broforceの“Bro”とはブラザーのこと。 敵に囚われている世界のアニキたちを助けて仲間を増やしていくのだが、そのメンツがどこかで見たような顔ぶればかり。
赤いバンダナに手にはマシンガン……ベトナム戦争から帰還してアフガンで怒りそうな人だ!
頭がモヒカンで特攻しそうなオッサンや、顔に迷彩をしてロケットランチャーをぶっ放すマッチョもいれば、テロリストに占拠されたビルで戦う刑事っぽい人もいる。 まるで木曜ロードショーで見たような世界のアニキたちが続々と参戦だ!
元グリーンベレーらしい男は『Rambro』、ロケットランチャー男は『Bromand』など、名前をむりやり「Bro」と引っ掛けられてるアニキたち。 ロボット警官は「Brobocop」、頭にB付けただけだよ!
正面突破にあからさまでドキドキするが、たぶん(法的に)大丈夫。 元ネタの俳優さん達がまとめて出演している『エクスペンダブルズ3』と正式にコラボしたスピンオフ『The Expendabros』も配信されているから。 こちらは無料で基本的なゲームシステムは同じなので、実際にプレイ感覚を確かめたい人はどうぞ。
■サングラスに黒い服でカンフーポーズ、電脳世界の救世主ヒーローだと少しも隠してない潔さ。世界や宇宙を救ってきたアニキ達を集めて、テロ組織をぶっ潰すのだ。
内容は『ロックマン』や『スーパーマリオブラザーズ』を思わせる昔ながらの横スクロールアクション。 撃ち放題の通常攻撃と回数制限のあるスペシャル攻撃、それに近接攻撃を使い分け、ジャンプで飛んだりダッシュで走ることもできる。
自機であるアニキたちの見かけはちまちましたドット絵だが、攻撃力がハンパない。 地形を壊すのは当たり前で、ランチャーをガンガン撃つとステージの形が変わってしまう! 最近は『テラリア』や『マインクラフト』など地形がすべて破壊可能なブロックで構成された「サンドボックス」系が流行りだが、あれを「ぶっ壊し」にフルスイングした作りだ。
目の前の敵は一秒でも早くぶっ殺したい。しかし、アニキたちの攻撃力は屈強で最強に強まっていても、基本的には一発でも喰らえばアウトのひ弱さ。とても派手にぶっ壊す前に、命の安全を守って末永く生き延びないといけない。
そこで、地形をガンガンぶっ壊して間接的にぶっ殺す。 ガトリング砲を持ったデカブツは、地形を彫り抜いて足元を崩して落っことすトンネル戦術がすこぶる効果的だ。
さらに、地形を崩せば上から岩が落ちてきたり、火薬の詰まったドラム缶を撃てば爆発したり、それから他の火薬に燃え広がったり……といった「ぶっ壊しの連鎖」が巻き起こる。 天井を壊して大男の頭上に岩を落すもよし、ドラム缶を点火→誘爆→地形が崩れる→超硬い敵ロボットが落ちてくる→頭の上を走り抜けるコンボもあり。
ただし、ウッカリすると自分が岩に押し潰されるわ、味方のアニキが囚われた檻を目の前にして爆発で燃やされるわ。地形を壊しすぎて対岸に行けず、ゲームが詰むこともよくあるぞ!
そうこうしてステージ最後にいる黒服の男を倒すと、ヘリコプターが迎えに来る。 投げ落とされた縄梯子をつかんで上空高く飛び立つと、眼下ではテロリストの拠点が爆発炎上。
いかにもアメリカンな終わり方、ハリウッド映画的な「スカッと爽やか」がとてもイイのだ。
■ステージをクリアすると、味方のヘリが迎えに来る。敵の拠点が地獄の業火で燃え盛るなか、倒した敵がズラーっと表示されるハリウッド映画+アーケードゲーム感覚!
チビキャラの中にシルベスター(略)やチャック・ノリ(自粛)の特徴を捉えたドット絵に象徴されるように、このゲームはとても細やかに作り込まれている。 『死霊のは○わた2』の彼なら通常攻撃のショットガンを撃ちまくり、特殊攻撃はチェーンソーをブン回す。Brobocopは何体もの敵をロックオンして連続射撃など、原典へのリスペクトも完ぺき。 『プラネット・テラー』(伏せ字が面倒になってきた)の片足マシンガンガールのアクションなんて、映画本編よりも充実しているほどだ。
そして敵のリアクションも凝っていて面白い。 ヘッドショット(首が吹き飛ぶ)や肉片が飛び散るなどダイレクトな表現もあれば、死なない場合は「怯え」や「スタン」「混乱」と3つの状態がある。 インディー・ジョーンズ似のアニキに鞭で打たれるとビビり、『冒険野郎マクガイバー』的なアニキに爆弾をくっつけられて逃げ惑うザコがカワイイ。
使用できるキャラの性能差もかなりあり、火力に任せて強引に突っ走れるアニキもいれば、タメ攻撃を使いこなさないとキツいアニキもいる。山ほどいるキャラの特性を理解しておかないとクリアは難しい。
そこまで細やかに作っておきながら、「ステージ開始時点のキャラはランダム(偶然性による)」というガバガバっぷり。 ヒキが悪くて弱いキャラだったら、何もできずに死んじゃうよ!
爆発の連鎖も読みきれずに事故死する悲劇も多いのだが、そういう「なんで死んだんだー!」という嘆きも楽しみのうちなのだ。
■宇宙人関係の犯罪を調べてそうな黒服アニキがレーザーを放つと、ステージがド派手に崩壊。頭上から岩が落ちてきて自分が巻き込まれないように、破壊は計画的に
ミッションの中には巨大ボスが待っているものもあるが、これが「苦しくて楽しい」というオールドゲームの味わいだ。
ただひたすら攻撃すればいいボスもいるが、「どうやって倒したらいいんだ?」と最初は困る強者もいる。
■ボスが出現する前には予告CGが現れる。TERRORKOPTER=テロリスト+ヘリコプターという直球のネーミングも素晴らしい
強制スクロールで画面の端で押しつぶされ、攻撃も効かない……点火すると発射されるロケットがやたら配置されてるな? と気づいたら、こっちのもの。 次々と火をつけて当ててやると瞬殺! という風に「攻略パターンを見抜く」面白さが深い。まぁ、たまたま高火力の兄貴で密着できたから撃ちまくると死んだ」みたいな身もフタもない展開もあるけどね!
序盤はテロリストとの戦いだが、ミッション12ではいきなりエイリアンが出現。Broforceとテロリストとエイリアンの三つ巴の戦いになり、最終ミッションも斜め上にエスカレートする。
■後半ステージではエイリアンとの戦い。アニキの中にはプレデターっぽい人やパワーローダーに乗りそうなキャラもいるので特に問題ない。
正直、後半は長くてキツくてバランス悪い気もするが、それも「昔のゲームらしさ」と割り切れなくもない。そう、『ファイナルファンタジー3』のラストダンジョンのように。
Steamでは度々セールになってるし、PS4向けにも日本語化されたものが配信されている(ただし一部の機能は省略)ので、洋画のアクションヒーローで大暴れしたい! と思う人は、買ってみて損はないはず。
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Reported by 多根清史
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