2020年5月にSteamにリリースされたSNSでも話題沸騰中のパズルゲーム『Helltaker((ヘルテイカー)』。製作者はポーランドのクリエイター・Łukasz Piskorz(ウカシュ・ピスコシュ)氏。早速ゲームの内容と筆者がプレイした感想を紹介していくぞ。
ある日、「悪魔っ娘のハーレム生活」を夢に見た主人公のオジサンが、夢を現実にするべく彼女らのいる地獄へと乗り込む、という少し変化球ながら単純明快なストーリー。筆者は主人公の気合の入りっぷりに少し引いてしまった(笑)。
『Helltaker』は、「パズルパート」と「アドベンチャーパート」の2つに分かれている。「パズル」を解いて悪魔っ娘に逢いに行き、「アドベンチャーパート」で口説き落とす。それを繰り返して、悪魔っ娘のハーレムを作り上げればゲームクリアだ。
「パズルパート」のゲーム性は非常にシンプルで、左下に表示された歩数以内に悪魔っ娘(画像右下)へとたどり着くことが目的。障害物として、倒すのに移動回数を1つ消費させられる「魔物」や、押すことはできるが引くことはできない「岩」、他には「カギ」&「カギ付扉」や「針の床」などが存在している。どのような手順で進めば最短でゴールできるのかを考えるゲームで、いわゆる「倉庫番」と呼ばれるパズルの一つだ。
念願の悪魔っ娘の元に辿り着くことができれば、見事ステージクリア……というわけではなく、ゲームは悪魔っ娘を口説き落とすアドベンチャーパートへと移行する。
アドベンチャーパートでは、悪魔っ娘の問いかけてくる選択肢を一つ選ぶことになる。見事正解することができれば、悪魔っ娘を口説き落とすことに成功、ステージクリアだ。
もし選択肢を間違えると、その場で即死亡、GAME OVERとなる。とはいえ、GAME OVERとなっても、そのステージのパズルパートを頭からやり直すだけ。既にパズルは解き終わっているため、すぐに悪魔っ娘との問答に再挑戦することができる。
この悪魔っ娘達との小気味いい会話も本作の魅力の一つだ。
また、ステージ中にヒントボタンを押すことで、各ステージごとの専用会話を楽しむことができる。ヒントには頼りたくない!というプレイヤーも、ステージクリア後に一度戻ってヒントを見てみることをオススメする。なんなら、会話のほとんどが世間話をしているだけでヒントになっていないから安心だ。
ここまでがゲームのおおまかな紹介となる。
続いて、筆者が『Helltaker』をオススメしたいポイントを2点ほど紹介しよう。それは「パズルの難易度」と「魅力的なキャラクター達」だ。
筆者が『Helltaker』をプレイして最も感心した点は、「パズルの難易度」だ。
まず、前提として筆者はあまりパズルゲームが得意ではない。この手の「倉庫番」パズルについても今まで遊んだことはなかった。似たような「石や箱を押すパズル」をRPG中のダンジョン内ギミックとして触れたぐらいだろうか。筆者は難しい問題と我慢が苦手なため、この手のパズルゲームはすぐに投げ出してしまうだろうと考えていた。
しかし、『Helltaker』はクリアまで遊ぶことができた。問題が簡単かというと、そういうわけでもない。『Helltaker』は、どのステージも難易度設定が「絶妙」なのだ。具体的には、ゴールまであと数歩足りない、というルートが無数に存在しており、プレイヤーが「これが正解ではないか」と見つけたルートを試してみると、だいたい悪魔っ娘の直前で主人公が爆発することになる。
このルートがあと一歩なら、こっちのルートはどうだ?……こっちもあと一歩足りない!先に石を押せば歩数を節約できるか? そうすると今度はこの道が通れなくなってしまう! ヒントを聞いてみよう。楽しく会話ができるだけで、まるで教えてくれないじゃないか。いったいどうすればいいんだ!!!
ギリギリの悔しさを何度も味わいつつ、プレイヤーは試行錯誤を繰り返すことになる。何十回というリスタートを経て、試行錯誤の中で湧いてきたいくつかのアイデアを組み合わせることで、最終的に悪魔っ娘の元へゴール。製作者の掌の上で転がされながら、何度もトライ&エラーできる絶妙な難易度こそが『Helltaker』の真髄と言ってもいいだろう。
あまりにのめりこみすぎて、とある後半ステージの「初見殺し」は、思わず引っかかった時に「釣られた!」とモニターに向かって叫んでしまったぐらいだ。
独特で魅力的な世界観、スッキリとした画面構成、リスタートやゲームオーバー時のテンポの良さ、リズミカルで中毒性の高いBGM。どれもプレイヤーをパズルへ夢中にさせるためのギミックとして非常に優秀。
BGMのリズムに乗りながらキャラクターをノリノリで操作した結果、うっかり余計な操作をしてしまい何度もゲームオーバーになったプレイヤーは、きっと筆者だけではないと信じたい。
一応、ストーリーをすぐに見たいプレイヤー、もしくはパズルが苦手なプレイヤーのために、パズルパートをスキップする機能も存在するが、筆者としてはよほどの理由がなければパズルパートを遊ぶことをオススメする。はっきりいって、この最高に面白いパズルを遊ばないのは勿体ない。
パズルの素晴らしさについて一通り語り終えたところで、今度はキャラクターについて触れていこう。『Helltaker』は、キャラがとにかくカワイイッ!
カートゥーン調の画風、大きく見開かれた目、赤と黒を基調とするパンクな服装、そして、おそらく悪魔っ娘の大半はパンツスタイル。製作者の好みがこれでもかと詰め込まれたキャラクター達は、本作になくてはならない存在だろう。
カワイイのはアドベンチャーパートのイラストだけではない、パズルパートのSDキャラもカワイイのだ。
……最高だ。ケルベロスはもちろん、右下の主人公すらカワイイ、なんなら主人公の真上にある炎すら良い動きをしている。リズミカルに体を揺らすキャラクターを眺めながら、ゲームを操作するキーボードから手を離し、音楽のリズムに乗って体を揺らしているだけでも幸せな気持ちになってくる。それが『Helltaker』。
SNSでも日々ファンアートが投稿され続けており、キャラクター達がいかに高い人気を得ているかが伺える。
どのキャラクターも魅力的だが、その中でも筆者が一番キュンときたのは、天使の「アザゼル」と「ルシファー」だ。
ルシファーとの会話前に挟まれるアニメーションはぜひ実際にプレイして見てもらいたい。
『Helltaker』は英語のゲームだが、ゲーム性は非常にシンプルなため、英語が苦手でもプレイに困ることはないだろう。また、有志により日本語訳が公開されているため、ストーリーや台詞が気になるプレイヤーはWEBで検索すればすぐに見つかるはずだ。
筆者のつたないプレイでも1時間強でクリアできるライトなボリュームの中に、良質なパズルと魅力的な世界観が凝縮された2020年の名作。無料公開ということもあり、遊ぶかどうかを迷っている読者は今すぐSteamでダウンロードだ!
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