2017年10月11日と12日、Oculusは毎年行われている開発者向けイベント「Oculus Connect」を米カリフォルニア州で開催した。今回で4回目となる。
おそらく最も大きなインパクトがあったのは、昨日本誌でも報じた「Rift」の値下げだろう。2017年に入ってから2回の値下げを経て、税込み価格は94,600円から5万円と半額近くになっている。
ただし、キーノートのステージではハードウェア面でも重要な事柄が発表されている。新しい一体型VRゴーグルとVR用コントローラーだ。
1つ目の製品は「Oculus Go」。199米ドルと非常に安い一体型VRゴーグルだ。搭載するCPU等は公開していないが、この価格で無線のコントローラーも1個付属している。ディスプレイは2560×1440ドットの液晶を採用。VR用に最適化した「Fast-switch LCD」を使っているという。
一体型で心配になるのはコンテンツの量だが、「GearVR」とバイナリーレベルで互換性があり、GearVR向けに開発したアプリはOculus Goでも動作するとしている。発売時点でコンテンツは豊富にあるというのは大きな強みだ。発売は2018年初頭の予定で、11月に開発者向けキットの提供が始まる。
2つ目はVR用コントローラーの「Santa Cruz Controllers」。その名の通り「Santa Cruz」に付随する製品だ。Santa CruzはRiftの体験を無線化するというコンセプトのVRゴーグル。モバイルVRとハイエンドVRの間という位置付けになる。製品は一体型VRゴーグルになるとのことだが、詳細は語られなかった。2018年中に開発者向けキットの提供を始める予定だとしている。
Santa Cruz ControllersはSanta Cruzで利用するコントローラー。Riftで利用する「Touch」のようなイメージだ。Touchがそのまま使えない理由は、Santa Cruzがinside-out方式での位置トラッキングを採用しているためだ。Touchはoutside-in方式のため、トラッキングできない。
inside-out方式はコントローラーもゴーグル部のセンサーカメラでトラッキングする。そのためoutside-in方式よりもコントローラーをトラッキングできる範囲が狭くなってしまう。そこでOculusはSanta Cruzの試作品でゴーグル部の四隅にセンサーカメラを配置した。これにより、広い範囲でコントローラーを認識できるようになったという。
Santa Cruzは、昨年のOculus Connectで公開したデモではVRゴーグルに小型PCを搭載したものだった。しかし今回一体型VRゴーグルであると語られた。利用可能なコンテンツには触れられなかったが、モバイル向けとPC向けではコンテンツのラインアップが大きく異なる。元のコンセプトがPC向けコンテンツを無線のVRゴーグルで体験するというものだけに、コンテンツがモバイル向けであれば全くの別物になってしまう。製品版でどのようになるのか、非常に気になるところだ。
Reported by 宮川泰明(SPOOL)
© THIRDWAVE CORP. All Rights Reserved.