2017年12月5日、海外ニュースサイトの「VRFocus」はOculusが湾曲ディスプレイの特許を申請していると報じた。
・Oculus File Patent For Curved Display https://www.vrfocus.com/2017/12/oculus-file-patent-for-curved-display/
内容は、VRゴーグルに内蔵するディスプレイについて。ディスプレイを湾曲させることで、既存のVRゴーグルに存在する「光学的な異常」を改善する。
VRゴーグルはフレネルレンズなどを利用して視野角を広げている。平面のディスプレイ表示をフレネルレンズを通して見ると視界の周辺が歪んでしまうため、ソフト側で歪みを補正している。今回の技術はディスプレイ側を湾曲させることでこの歪みを補正するというアプローチだ。
この特許は「World Intellectual Property Organization(WIPO、世界知的所有権機関)」に今年の8月18日に申請され、11月30日に公開された(上記記事では「World International Property Organization」となっているが、誤記と思われる)。
・WIPOのWebサイトで公開されたOculusの特許のページ https://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=US206617963
この技術の肝は「Fiber Optic Taper」と呼ぶ、光ファイバーを束ねたレンズのようなもの。分かりやすくするため「ディスプレイを湾曲させる」と書いたが、厳密にはディスプレイの技術ではない。Fiber Optic Taperを使うと、平面のディスプレイでも表面が湾曲した状態を生み出せる。ディスプレイの種類を問わないため、専用のパネルを開発する必要がない。平面のディスプレイでも使えるが、湾曲ディスプレイを使うとFiber Optic Taperを薄くできるとしている。
Fiber Optic Taperと平面ディスプレイの組み合わせ
Fiber Optic Taperと湾曲ディスプレイの組み合わせ
現在は、レンズで生じる歪みを前提に、ソフト上で映像を反対方向に歪ませて補正している。Fiber Optic Taperを使う場合、レンズに映像が届いた時点で歪みは補正されており、レンズでは拡大だけを行えばよいという。この技術がどのような形で製品に反映されるのか、製品に実際に採用されるのかは不明だ。しかし、レンズはVRゴーグルにとって大きな課題の一つ。これまでとは違ったアプローチができるようになる可能性がある。
Reported by 宮川泰明(SPOOL)
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