2020年6月23日、FacebookはOculus公式ブログを更新し、一体型VRゴーグル「Oculus Go」を年内に販売終了すると発表した。後継機はなく、今後は「Oculus Rift」シリーズと「Oculus Quest」にリソースを集中させるという。6月24日現在、公式ページでは既に購入できなくなっている。
・An Update on the Evolution of the Oculus Platform | Oculus
Oculus Goは2018年に発売した一体型VRゴーグルで、2万円台半ばと買いやすい価格で人気を得た。今回Facebookが販売終了を決めたのは、同社が3DoF(Degrees of Freedom)のみに対応する製品の取り扱いをやめるためだ。今後は6DoFの製品のみを扱い、PC向けにはOculus Riftシリーズ、一体型ではOculus Questに注力する。
DoFは「自由度」とも呼ばれ、VRゴーグルでは3DoFと6DoFの製品がある。両者の違いは位置トラッキングの有無だ。3DoFは縦横の回転と傾き、つまりその場に留まって周囲を見回すことだけに対応する。6DoFではそれに加えて左右と前後、高さの移動が可能になる。6DoFでは体(正確にはVRゴーグルを装着した頭部)を動かすことでVR空間を移動できるようになる。
上記ブログでは、Oculus Questの発売後にユーザーから受けたフィードバックにより、VRの将来には6DoFが必要だと感じたとしている。今後3DoFの製品を発売するつもりはなく、そのためにOculus Goの販売も終了するのだという。
既存ユーザーは販売終了後もOculus Goを使うことは可能で、2022年まで不具合の修正やセキュリティパッチは提供される。ただし今後FacebookがOculus Goへ機能を追加することはない。今年の12月4日でOculus Go向けのアプリはストアへの申請が締め切られ、12月18日以降はストアに新しいアプリが追加されることはなくなる。
Oculus Goだけでなく、IDEALENSの「K2」やPico Interactiveの「G2」、Samsung Electronicsの「Gear VR」など、第一世代とも言える一体型VRゴーグルの製品群はほぼ全てが3DoFだった。Oculus RiftやHTCの「VIVE」など、当時の6DoFに対応したVRゴーグルは位置トラッキングにoutside-in方式(ベースステーションや外部センサーなど)を使っており、一体型VRゴーグルとは相性が悪かったためだ。しかし内蔵カメラを利用したinside-out方式の位置トラッキング技術が発展したことにより、Oculus Questをはじめ一体型VRゴーグルにも6DoF対応の製品が増えてきている。現在はローエンドは3DoF、ミドルクラス以上は6DoFという住み分けになっているが、今後ローエンドでも6DoFが当たり前になっていくのかもしれない。
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